文句無しの傑作!
誰もが、経験したことのある、高校時代のほろ苦い思い出を思い出し、微笑ましくなれる。自分が高校生のとき、作品で描かれるクラス内の階級では、どこに属していたかを当てはめて観ることができて面白い。
いわゆる階級のトップに君臨するモテモテグループと、桐島とは全然関係のない、映画部のダサイグループ。桐島が退部したことで、上の階級に属する多くの人間が影響を受けるのだが、下の階級である映画部だけは蚊帳の外でゾンビ映画を黙々と作る。この2つの階級の視点から物語が描かれていく。
上の階級の人間が徐々に緊張感が増して行く中で、あくまでも自分たちの世界の中で映画を作り続ける映画部たち。
ついに、桐島の問題に翻弄されている人間たちが、自分たちとは全く無関係の映画部とぶつかり合うラスト。階級が上の人間が下の階級を軽視し、彼らの立場を考えずに撮影現場に足を踏み入れることで、ついに映画部はキレる。
あくまで、自分たちの問題しか考えなかった上の階級が、初めて下の階級に目を向けることで、身分の違う階級の人間同士がお互いの存在、それぞれが抱える問題に直面するラスト。クラス一のイケメンで何もかも完璧な人間が、映画部のカメラを手にとる場面に心が温められる。
映画部の作っているゾンビ映画は、クオリティが非常に高く笑える。