桐島、部活やめるってよ




文句無しの傑作!


誰もが、経験したことのある、高校時代のほろ苦い思い出を思い出し、微笑ましくなれる。自分が高校生のとき、作品で描かれるクラス内の階級では、どこに属していたかを当てはめて観ることができて面白い。
いわゆる階級のトップに君臨するモテモテグループと、桐島とは全然関係のない、映画部のダサイグループ。桐島が退部したことで、上の階級に属する多くの人間が影響を受けるのだが、下の階級である映画部だけは蚊帳の外でゾンビ映画を黙々と作る。この2つの階級の視点から物語が描かれていく。
上の階級の人間が徐々に緊張感が増して行く中で、あくまでも自分たちの世界の中で映画を作り続ける映画部たち。

ついに、桐島の問題に翻弄されている人間たちが、自分たちとは全く無関係の映画部とぶつかり合うラスト。階級が上の人間が下の階級を軽視し、彼らの立場を考えずに撮影現場に足を踏み入れることで、ついに映画部はキレる。
あくまで、自分たちの問題しか考えなかった上の階級が、初めて下の階級に目を向けることで、身分の違う階級の人間同士がお互いの存在、それぞれが抱える問題に直面するラスト。クラス一のイケメンで何もかも完璧な人間が、映画部のカメラを手にとる場面に心が温められる。

映画部の作っているゾンビ映画は、クオリティが非常に高く笑える。


ヒミズ





主演の染谷将太と二階堂ふみは第68回ヴェネツィア国際映画祭にて新人賞にあたるマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞。

あらすじ
 貸しボート屋を営む家庭の一人息子、住田祐一(15歳)中学3年生。
震災によって、ホームレスとなった大人たちと平穏な日常を送っていたが、ある日、蒸発していた父親が突然現れ、金の無心をしながらも、住田に激しい暴力を振るう。母親は中年男性と駆け落ちをし、家を出てしまう。彼の夢はただ普通の日々を送ること。お前なんかいらねえんだよと言われ、毎日殴られる日々、次第に自分の生きることの価値に疑問を抱くようになる住田。
 住田の同級生、茶沢景子は、娘が首を吊れるように、絞首台を作る両親という異常な家庭で、愛のある家庭を夢みる。
 住田に恋する茶沢は、猛烈アプローチをし、疎ましがられながらも次第に距離を縮めていくことに喜びを感じる。
しかし、父親がヤクザから借りた金を返せず、ヤクザにも暴力を受けるようになってしまった住田は、ついにキレてしまい父親を殺してしまう。
 学校にも行けず、ただ生きるために貸しボート屋を営む住田。夢も希望も崩れ去り、ゴミ以下の価値しかない命、それでも彼は命を立派に使って生きたいと決意する。社会に蔓延る悪党を探し出し、殺すこととともに。
 住田の理解者である茶沢は、暴走する住田にとっての唯一の希望となれるのか。

時折、挿入される3.11後の震災跡のショット、そしてラストシーンには、復興を目指す福島へのエールのようだ。