そして父になる LIKE FATHER, LIKE SON



作品情報
製作年 :2013年
監督  :是枝裕和
キャスト:福山雅治、尾野真千子、真木よう子、リリー・フランキー

第66回カンヌ国際映画祭 審査員賞受賞

あらすじ
大手建設会社に勤め、都心の高級マンションで妻と息子と暮らす野々宮良多。ある日、産院からの電話で、6歳の息子が取り違えられた他人の子だと判明する。妻のみどりは、気付かなかった自分を責め、一方良多は、優しすぎる息子に抱いていた不満の意味を知る。
良多は、相手方の家族と戸惑いながらも交流を始めるが、電気店を営む斎木雄大と、ゆかり夫婦の粗野な言動が気に入らない。過去の取り違え事件では100%血のつながりをとるというが、みどりと斎木夫婦は育てた子を手放すことに苦しむ。早い方がいいという良多の意見で、ついに交換が決まるが、そこから、良多の本当の父としての葛藤が始まる。

みどころ
 6歳になる慶太は、私立の小学校お受験、ピアノレッスン、ゲームは1日30分など、父親の決めたルールにがんじがらめになっている。そのせいか、自分の意志で物事が考えられず、常に父親の目を伺ってばかりいる。
 競争心に欠け、ピアノもちっとも上達しない、そんな慶太に良多は不満を募らせるが、
他人の子だと分かった瞬間に、妙に納得してしまう。
自らの論理に何でも従わせる、鼻持ちならない高慢なエリートが持つイヤミっぽさを、福山雅治が違和感なく演じている。わざとらしい、ステレオタイプな父親像は、良多自身が父親の影響を受けているため。
 対する斎木一家は、一見すると粗野だが、人間味溢れる家庭。子供との距離も近く、自由でのびのびしている。特に、真木よう子の乱暴な言葉づかいがいかにも上手である。
初めは嫌々ながら斎木家に、泊まる慶太もすぐに馴染んでしまう。
 子役の描写も見事で、慶太を演じた二宮慶太は、父親との埋まらない距離感を見事に体現した。

なぜ、取り違えが起きてしまったのか、
6年間育てた子が他人の子であったことにどう向き合うのか
血を選ぶのか、それとも・・。 
そして、父親とは何かを学び、成長していく姿。
人間ドラマとしてもエンターテインメントとしても、充実した内容となっており、細かい描写まで気を配った作りとなっている。