作品について
アメリカには、インディアン保留地といい、公的に指定された先住民族の居留地がある。保留地は、農業や産業のない僻地が多く、居住施設や衛生状態も貧弱である。
舞台は、厳寒の大自然に囲まれたワイオミング州ウインド・リバー保留地。人間が歩いてたどり着くことが不可能な広野のど真ん中で、先住民族少女の遺体が発見される。FBIは、新米女性捜査官のジェーンを派遣するが、過酷な自然の中での捜査に難渋し、第一発見者であるコリーに捜査協力を依頼する。
全編に渡って描かれる雪景色、息をするだけで肺が凍ってしまうような過酷な環境は、美しくもあり残酷さもある。先住民族に対する政府の対応や、根強く残る差別、多くの事件は未解決のまま。
主人公のコリーは先住民族の妻を持ち、娘をウインドリバーで殺害されている。そのため、被害者である先住民の家族とはわかりあうことができるが、FBIのジェーンは相手にされない。しかし、ジェーンの捜査に対する態度が次第に理解され、コリーと友情を深めていく様子が良い。
最大の謎である、なぜ歩くことが不可能な広野のど真ん中に裸足で到達できたのか?その真相が明らかになるクライマックスは、ショッキングであるが、心を揺さぶられる。
作品情報
製作年:2017年
監督:テイラー・シェリダン
キャスト:ジェレミー・レナー、エリザベス・オルセン